「……毛布…」

「起きろ馬鹿」

「…………寒い」

「…外の鳥になんかやれ!!」



ああもう…小うるさい…。

寒いし眠いしうるさいし。

確かに餌付けた鳥は騒いでるけど。
いいじゃないか、毎朝の事なんだし。

リンゴ出した所で静かになんかならな………



「ひぁ!!」


上に着たトレーナーの裾を伸ばして、膝を突っ込んだ私の体が、ごろん、と転がされ、床に落ちた。


…ごんって…音が…したぞ?



「…っいっ…たあああ…」

「…ごめん、頭打ったな」


片足だけトレーナーからはみ出し、尚も縮こまる体が、だるまのように起こされる。

明らかに笑っている気配と、いい加減耐え難い寒さとに、目を開けた。


床にぶつけた箇所を撫でさする手は優しいが、ぶつけさせたのはコイツだ。

目の前にしゃがみ込んで、可笑しそうに笑う哲には、何をしてくれても、腹が立つ。