○渡月橋西詰め、夜
   橋下にテントの灯が見える。
   土砂降りである。

○テントの中、夜
   土砂降りである。
   出羽と亀山が寝ている。
亀山「これはすごい雨だ」
   出羽、おおいびきで眠っている。
   亀山、寝袋の中にもぐりこむ。

○テント、外、夜
   土砂降りの中はためくテントと灯。
   X  X  X
   木の葉の雫が落ちる。
   雨がやんで、白々と夜が明けてくる。

○渡月橋
   すっかり散った嵐山の桜。
   川も一面の桜花いかだ。
   橋げただけの渡月橋が見える。
   桜の花びらに埋もれた川舟の渡り橋。

○テント、外
   テントから出羽と亀山が起き出して来る。
   二人、大きくあくびをして気づく。
出羽と亀山「ええっ!」
   驚く二人の顔。

○京都府警本部、正面

○同、記者会見場
   記者会見が行われている。
   山本本部長、出羽と亀山がいる。

記者1「まさかのまさかですが何か今回を予告する
 ようなものがありましたか?」
   本部長、短冊を手にして、

本部長「えー今思えばこの短冊だと思われます。この短冊が
 5日ほど前に大量に川に流されていました。文面は、
 『春惜しむ桜吹雪に花いかだ歩いて渡れ舟の渡月橋』」

記者2「そのままじゃありませんか。何故公表されなかったんですか?」
本部長「何しろ金閣寺騒動以来いたずら手紙が多くて、
 いちいち公表はいたしておりません」

記者3「何か対策はしておられたんですか?」
本部長「まさかとは思いましたが二人の刑事を張り込ませておきました。
 こちらの出羽警部と亀山刑事です」