久しぶりに再会した斎藤と別れ、譲は無事に吉原にたどり着いた。 さすがに真昼間のためか、人はいっさいいなかった。 (まあ……当然よね) 煌びやかな夜とは打って変わって、妙に物寂しい遊郭を眺めながら、譲はお世話になっている店に入る。 暖簾(のれん)をくぐると、仲居の者に中に通してもらう。 そして、ある人の部屋の襖を開ける。