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譲の帰りがあまりにも遅かった。



最初は握り飯を作るのにてこずっているのか、それとも近藤さんに何かを言われているのかと考えていたものだが、そのどちらを取るのだとしても、あまりにも遅すぎだ。




総司は、ぶらぶらさせていた足をと止め、廊下を歩き始めた。




今日の道場は妙な静けさに包まれていた。




不気味なほど静寂な空間に、総司は嫌な予感がして、眉をひそめる。




そして、近藤さんの部屋を訪れる道すがら、あるものが目に入ってきた。




赤いそれを目にして、総司はいよいよ目を見開く。



(血………?)



間違いない。床に滴り落ちているのは血だ。



では……誰の血?



そう思った途端、慄然とした。



この予期が、どれほど外れてほしいと願っただろう。




だが、まだ新しい血。そして帰ってこない譲。




この二つを結びつければ、彼女の身に何が起こったのか、馬鹿でも見当がつく。




総司は拳を握り締めると、廊下にたれている血のあとを追った。




辿りついたのは、稽古場だった。