季節は巡る。 とりとめもなく、無常に時は流れ、 どれほど願っても止まることはない。 桜がはらりと舞う。 綺麗で切ない桜。 でも、私は知らない。 一人で見る桜しか、私は知らない。 そうして季節は流れ、日差しのきつい初夏が訪れた。 もう、道場に咲いていた桜は散り、葉桜がさわさわと風に揺れていた。 近藤さんの養女になって、一度目の夏が巡ってきた。