二重人格神様~金と碧の王~

突然の言葉だった。でも、はっきりと聞こえた台詞に思わず動揺してしまう。

「あ…の…」

「俺は、神としていのりの何十倍も生きている。その長い時間の中、半分以上を海鈴の中で過ごし、あの牢屋の中に閉じ込められていた。だから、俺にとってこの時間なんて、どうでも良かったんだ。ただ、毎日は過ぎていくのを眺めているだけで良かった」

「……」

「誰にも、必要とされていなかった。信じてもいなかった。どうせ裏の存在だからって割り切っていた」

「…ん…」

「そんな俺だったのに…予想外の事が起きた。ある女と出会って、初めて…つまらない時間が楽しいって思うようになったんだ。もっと、ここにいたい…もっと、その女の傍にいたい、触れていたいって思うようになった」

「ぁ……の」

掴んでいた手をなで、今度は甲に口付けを落とす。

「やっと、見つけた気がした。この長い時間を生きる理由が」

「……」

「だから、それを失うわけにはいかない」

手を離し、そのまま額を重ねる。グレンさんはこの仕草が好きみたい。

「お前がいないと、俺はきっと駄目になる。だから、いのりには生きていて欲しい。その笑顔とか…声がすきだから…」

「ぐれ…ん…さん…」

「元気になったら、笑っていてくれ。そして、幸せになって…それが、俺の一番の望みだ」

そう言うグレンさんの声に少し違和感を感じた。