あたしは頭を捻る。他……他……、と考えたところで、頭に浮かんだ記憶。

『新撰組の土方歳三には、句を詠む趣味があったんだ』

確か日本史の授業中、先生言ってたよね。
新撰組大好きでやたら話してくれた。ムダな知識だったけど。

でもありがとう松っセン。役に立つかもしんない。

(新撰組の土方ってコイツだよねぇ……)

あの頃は全く興味がなく、へーそうなんだー。位にしか気にしてなかったが、何となくでも聞いといてよかった。


「んー……と、」

「早く言え」

土方が言った。

「……言っていいんすか」

「言うことがあるならな」

「はあ。一つ、思い当たったんですが。これ言うとヤバイってか、あたしが殺されかねないような……」

「何言ってんだお前。いいから言え」

イラついたのか土方が睨んできた。

いいんだね?いいんだね?あたしちゃんと言いましたから。


ため息をつき口を開いた。

「━━━━━……」

「あ?聞こえねぇよ。もっとデケェ声で言え」

ボソボソと小さめの声で言ったから聞こえなかったらしい。土方に怒られた。

いや、貴方に気を遣って小さく言ったんですけど。