妖しい笑みのあと、あたしの背を押した。

歩け、という事だろう。

(あー……嫌だな、何されるんだろう。尋問とか?集団リンチは勘弁してほしいな……。
てか “近藤さん” ってどなたさん?)

昨日の夜からずっと、ウトウトしながらタイムスリップについて考えていた。

まぁ、一晩でカタがつくほど簡単な状況じゃない訳で。


暗闇にいると楽観的なあたしもさすがに気が滅入るというか、 “家帰りたい” だの “何で” だの
“最悪” だのウジウジ考えていたのだが、

母の血というのはすごいもので、あっという間に立ち直ってしまうという。

やはりあたしに悲観なんて似合わないってことだ。


━━━笑いなさい、眞希。


━━━アンタが笑ったら、みんな笑ってくれるからなぁ。


そうだよね。そう言われて育てられたんだもの。悲しみを持続なんてできないや。