ズルズルと壁を背中から滑り落ちる。


ペタリと畳に座り込んで、呆然とする。



放心しているあたしに、しばらくしてから声をかけたのは藤堂だ。



「……宮本、大丈夫か?」


「…………え、」




間の抜けた声で返事をすると、藤堂は心配そうにあたしを見つめていた。


他の連中も、何とも言えないような目であたしを見つめていて。

その目が、何を見ているのかに気付いて。


ドクリ、と心臓が脈打った。




『気持ち悪い!!』





「……っ失礼、します」



あたしは乱れた前髪と着物をサッと直すと、
すぐに無表情を装って立ち上がる。


落ちたお盆を拾い上げると、無言で部屋を出た。




背を向けて障子を閉めたのに、

いつもなら小言をいう土方が、何も言ってこなかった。