*******
「うむ…………この刀は中々鍛えてあるな。
そりもいい感じだし、何より美しい。少し刃が長いが…………だが良いな」
「……………」
「こっちのも………」
「………………あの」
「あ、あれも良いな…………」
「………………あの、斎藤君」
刀匠屋に刀を見に来たあたしと〝とても詳しい人〟の斎藤。
来るやいなや、斎藤はあたしをそっちのけで刀に興味津々だった。
「なんだ宮本」
「いや、何だというか…………あたしの刀……」
「ああ」
そう言えば、とでも思ってそうな表情でぽんと手を手を叩いた斎藤。
どうやら熱中して本来の目的を忘れていたらしい。
あの後、ちゃんと斎藤に頼んでくれていたらしい沖田。
おかげで今、刀を買いに来ることができたんだけども。
この人、もしかしてあたしのことは二の次で自分が刀見たかっただけじゃないのかな。
すくっと立ち上がると、あたしを上から下からジロジロと見つめる。
「…………な、何ですか」
なめるような視線に少し身を引くと、斎藤は顎に手をやり唇を結んだ。
「ふむ。宮本は背丈が高いから、どの刀でも大概大丈夫だな」
「…………それはどうも」
何を見てるかと思ったら、身長を測ってたのか。
「だが、女子は力がない。いくら腕があっても、実戦でうまく使えるような刀を選ばなくては。
腕が疲れたりしたら、刀を振るえないからな」
「?」
「長さはともかく、軽めの刀の方がいいと言っている」
「なるほど」
やっぱり、詳しい人がいると助かる。
刀って身長で長さが決まるんだ。恥ずかしいけど知らなかった。

