(つーかさぁ、ぶっちゃけ沖田くんもあたしのこと避けてたよなぁ。多分)
沖田の性格だからあたしが避けても普通に向かって来そうなのに、
それが無かったってことは、沖田の方もあたしを避けていたような気がする。
何でか分からないけど、今フツーに話しかけてきたってことは、もう怒りは収まったってことなのかな。
(……いやでも、沖田の正確なら尚更これじゃ諦めがつかなそうな気も…………)
「眞希ちゃん」
「ぅおっ。ハイ」
呼ばれていたことに気づかず、返事が遅れた。
沖田はじっとあたしを見つめていた。
普段あまり見られない、真剣な瞳。真っ黒な瞳に吸い込まれそうで、少し怖い。
「なんですか」
「君、まだ巡察には行かせてもらえないの?」
「……………」
これまた、あまり触れられたくない事を付いてくるなぁ………。
〝巡察〟。
今現在、壬生浪士組には副長助勤というポジションがある。
名前の通り、副長・局長を補佐する役職なんだけど。
その副長助勤が、隊士を何人か引き連れて、京の町を巡回する…………のが〝巡察〟。
いつだったかの腕試しでめでたくも
副長助勤の補佐(パシリ)、副長の小姓というありがたーい役目を貰ったあたしは、日々忙しく働いて(パシられて)いるのだが。
未だに一度も巡察についてった事ないんだよね。アハハ。
つまり一度も町に出たことがない。

