「そもそも、妾が居るっていうのは、わりと普通の事なんだよ。 君のいたところでは、普通じゃなかったみたいだけどね」 あたしが苦い顔をしている間に、話が戻っていたようだ。 沖田は木刀を手に取ると素振りを始めた。 「普通?」 「そう。芹沢先生はお梅を囲ってるけど、他にも居るからね」 「…………」 「…………」 …………無言になる。 あれ、沖田といた時ってこんなに気まずかったっけ。 涼しい顔してるけど、道着の下は汗だくだ。 稽古での汗じゃなくて、冷や汗の方ね。冷や汗。