「類は友を呼ぶ、みたいな…………最低な奴の周りには最低な奴が集まるんだね」
「すげー言い草だな」
山野は困ったように目尻を下げて笑う。
あたしはハッと鼻で笑って竹刀を振る。
「だって最低じゃん。旦那さんがいるのに浮気するとか」
「まぁなぁ」
「でも、浮気してるのは芹沢先生だけじゃないんだよー」
ふいに入り口から聞こえた声に、二人して振り向く。
そこにいたのは、腕を組みながらこちらを見ている沖田だった。
「沖田君」
「おっ、沖田先生!!」
山野が直立不動になった。
心なしか顔色が悪いような。
「やぁ山野君。こんな時間に練習なんて熱心だねぇ。相手しようか?」
「いえ、宮本さんに付き合ってもらったので、十分です!
自分はこれで失礼します!」
山野はそういうと、竹刀を片付け足早に道場から出ていった。
最後まで山野が若干視線を逸らしていたのが気になる。
「…………あんた、どこまで恐怖政治引いてるんですか」
「やだなぁ眞希ちゃん。俺は熱心に稽古つけてるだけだよ」
「…………熱心……ね……」
稽古後に人間ピラミッドが出来るような稽古の何が熱心なんだか。
明らか何かヤバイことしてるでしょう。

