お互い竹刀を下ろして一息ついた。
まだ早朝だけど、さすが真夏。ちょっと動いたくらいで汗が流れてくる。


「…………で、それより。色々って、他にどんなんがあるよ」

「……何でお前、そんなに芹沢局長の悪癖知りたいの?」

「…………しいていうなら、興味本位?」

「理由になってないな……」


山野は呆れたようにため息をつくと、手拭いで汗を拭った。

…………悔しいけど、伏し目がちに汗を拭う姿は何とも色っぽい。
さすが美男五人衆と名高いだけある。女のあたしが霞んでます。


「…………艶めかしいとか言ったらぶっ飛ばすよ。宮本でも許さないからな」

「思ってませんともそんなこと」

本当かよ、と不審そうに言われたけど、しらばくれていたら疑いがそれた。カンタン。


「そうだなぁ。ありすぎて分かんないけど…………。
…………そうだな、民家に恐喝まがいの金策してるし、酒癖悪いから酒入ったら大体店で暴れるな」

「うわメイワク。見たまんま」

「あと女癖も悪いだろ?お梅さんのことだって…………」

「お梅さん?」

「あれ?知らねーのか?」