「泣き虫で頑固で諦めの悪い奴は嫌いじゃない」 「…………何ですか、それ」 犬を撫でるみたいに乱暴な手つきに、あたしは仏頂面になり斎藤を睨む。 「…………斎藤君、あたしのこと子供扱いしてません?」 「そんなことない。勘違いだ」 涼しい顔で言う斎藤が憎らしい。 …………でも、頭に触れられる感覚は、意外と悪いもんじゃない。 「…………ところで斎藤君、斎藤さんのおかげってどういう事ですか」 「秘密だ」 「男同士の約束だもんね!」 「………………」 斎藤も、なかなか悪い人だ。