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「………………」
「眞希ちゃん機嫌悪いねー」
「悪いですよ。何か?」
怖いなぁ、と苦笑する沖田。
当たり前。悪くもなるだろう。無理やり眠りを妨げられたんだから。
「ホントもう信じられない。女の寝込み襲うとか正気ですか?」
「襲ってしっかり報いを受けただろうが。
原田が」
土方は憮然とした表情であたしを睨む。
何であたしが睨まれてんだ。
「男を拳で殴って気絶させるとか、お前こそ正気なのかよ。信じらんねぇ」
永倉には呆れというか、むしろ微妙に恐れられているような。
あたしに殴られボコボコのボロボロになった原田は、別室で隊士の介抱を受けている。
「女の拳で倒れるなんて、情けないんじゃないんですか」
「女は男に跨って気ィ失わすまで殴りはしない」
「そもそも誰のせいですか!
腕試しだかなんだか知りませんけど、夜中にいきなり襲ってくる方が悪いでしょう?!常識ないんですか?!」
「腕試しだ言ってんだろうが!
お前の度胸を試したんだよ、こっちだってまさかこんな恐ろしい結果になるなんて思ってなかったんだよ!」