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「んぎゃあああっ」

「おい、よせっ!やめろ宮本!」


途中部屋から飛び出してきた山南と一緒にその場に行ってみると、
それはおかしな惨状だった。

土方でさえもポカンと口を開ける位だ。

まず立ち位置がおかしい。



襲われたはずの眞希が、襲ったはずの原田に襲いかかっている。

原田の腹に馬乗りになり、あたかも押し倒しているような体勢だ。

腕を振り上げている眞希を、永倉が必死に押さえているが、あまり利いていなさそうだった。

原田の顔の真横には木刀が地面に突き刺さっていた。


「ちょっと土方さんっ!何つー女 浪士組に率入れようとしてんだ!」


いつもの余裕がない永倉は眞希を押さえながら引きつった顔で怒鳴る。


そんな様子に沖田は腹を抱えて爆笑していた。

「な…………どういうことだ、斎藤」


影のようにいつの間にか隣にいた斎藤に土方はたじろぎながら聞いた。

斎藤は至って冷静な顔で口を開く。


「先ほど突入した際、断末魔のような声を上げた宮本が、耳をやられた原田に飛び上がって襲い掛かり、この有様です」

「どんな有様だ!」



永倉の説得も聞こえていないのか、眞希は振りほどいた手で拳を打ち込む。

原田の悲鳴もか細くなってきた。否、不味い。

我に返った土方が、永倉を手伝い、眞希を原田から引き剥がした……。