久しいな、と土方は思った。


武州にいた頃は、あのオンボロの道場で三人でよくこんな風に話したものだ。


久しいと言ってもその記憶もたかだか二年程前の事で、大して時は経っていない。

ただ心境としては、ここ二年で状況がめまぐるしく変わり、気楽だったあの頃が酷く懐かしく感じるのだ。

何気ない事で笑い、はしゃいでいたあの頃。


剣を取った事に後悔はない。だが、時々あの頃が恋しく思う。



それは二人も同じようで、月を見上げる横顔はどこか切なげだ。


昔を思い出ししみじみと微笑む三人。




「ぅああああぁっ!!」


────尋常じゃない叫び声が聞こえてきたのはその頃だった。




「なっ、何だっ?」


驚いたらしい近藤が慌てて立ち上がった。
沖田は変わらず飄々としているが、土方も少なからず驚いた。


「何ってあれですよ。【腕試し】」

「! …………では、あれは宮本君か……」


近藤は目を細め宙を見る。


「所詮、女だったって訳か」


土方は原田と永倉に、遠慮なく眞希を襲えと言ってあった。

遠慮なく襲った結果がこれ、という訳だ。


「やはり小姓止まりか……」



「…………まだ、分かんないですよ」


沖田が唇の端を吊り上げ、妖しく笑う。

その時だ。



「─────うぎゃぁああああっっ!!!」