隊士たちが全員大広間(食事するところ)に入るのを見計らって、あたしも膳を持って部屋に戻る。

ここ最近は一人で食べている。あくまで “内密” だから。


「宮本君、ちょっといいかね」


今日も同じように、ご飯を食べようと箸を持ったタイミングで、声がかかった。

声の主は井上だ。


「ハイ」

「局長がお呼びだ。膳を持ってこっちへおいで」

「局長が……?」

怪訝な顔をしたあたしに、井上は微笑んで言った。


「“顔見せ” だよ。男ばかりで緊張するかもしれないけど、しっかりね」


顔見せ……。
このタイミングでですか。


「局長、連れて来ましたよ」

開け放たれた大広間に入ると、ずらっと並んだ食膳と男達がいた。

外国の長テーブルみたいに、皆が顔を合わせて膳を囲んでいる。

井上について入ると、その視線が一斉にこっちに向いた。さすがにヒビる。

あたしを見て僅かにざわめく。
まるで無法地帯だ。決して好意的な視線や言葉ではない。


「静かにしろ」

低い、静かな声が通る。
瞬間、一気に静まり返る大広間。

純粋に凄いと思う。
この無法地帯を簡単に沈めるなんて、フツーじゃないな、土方。