「………その女、出て行ったのではなかったか」

「出戻りですよ」

「旦那と別れた妻みたいに言わないでくれます?」


嫌味だわー。

分かって言ってるわ絶対。


「出戻り……?」

「ええ。不逞浪士と鬼ごっこしてました」

「してねぇよ!」


あんなボコボコにやられてたってのに!
何が鬼ごっこだっての!


「……何かボロボロだが………大丈夫なのか」

「斎藤君………あなた最高です」


彼は話が分かるだけでなく気遣いまで出来る人だったらしい。
マジ最高。こういう人マジタイプ。


「ああ、そういえば満身創痍ですねー。手当してもらいますか?土方さんに」

「断る!」

「まぁそう言わずに」


言いながらグイグイあたしの腕を引っ張っていく沖田。完全に話を聞く気は無いと見た。
……もう好きにしろよ。

はぁとため息をついたあたしに、沖田は正面を向きながら何気なく呟いた。

「ところで、聞きたいことがあるんですが」

「何ですか」

「腕が切れてるのは何故ですか?」

「枝に引っ掛けたんです」

「頬が腫れてるのは何故ですか?」

「地面に擦って腫れてきただけです」



「………じゃあ、左目を髪で隠しているのは何故ですか?」


「……………」