『本当、相変わらず鈍足ですねー。いちいち待ってられませんよ。
山崎さん、屋根伝いに先に戻ってくれませんか?彼女を連れて』

『了解』

とかなんとか言い出した沖田の言葉に、
素直に従った山崎は、あたしを肩に担いでいきなり屋根に飛び上がった。



………………と、いつかのやり方と同じであたしを翻弄させたのだ。


「痛いゆぅとるやろ!! 早よ歩いて欲しいなら
口で言え!」

「言ったって変わらないでしょう」

「努力はするっての!」


自分だって後からゆったり来たくせに!

第一男と女じゃリーチが違うんだっての!


こいつらは、女に対する気遣いが丸々欠如してる!



「総司。夜中に騒ぐな」

「あ、はじめ君」


沖田の後ろからぬっと現れたのは、

話の分かる男、斉藤君。


「巡察でもないのに、夜中にどこに行ってたんだ?山崎まで連れて、…………」


斉藤君は沖田から山崎に視線を移し、その近くに居るあたしを見た。