カァッと顔が紅潮した。

言葉に詰まったあたしを、沖田はクスリと笑うと、


「さて、行きましょうか」

背を向けながら言った。

沖田のポニーテールにされた肩にかかる焦げ茶の髪がふわりと風に靡いた。


( “行きましょうか” って………)

何コイツ。

(縛りもしないで置いてくとか………もしあたしが逃げたりしたらどうすんの…)


複雑な思いで前を行く青い背中を見つめた。

立ち止まったままボンヤリしたあたしに、
後ろに静かに立っていた黒子が低く呟いた。

「………おい」

「……わ、」

ビクッと肩を竦ませながら振り返ると、
眉間にシワを寄せながらあたしを睨む山崎がいた。


「妙なことを考えるな」

「妙なことって何ですか?」

「お前が一番分かっているだろう」


山崎が鋭い目をしながらあたしを睨んでいる。

月明かりに照らされたその姿は、真っ黒な様相と相極まって、不気味に見えた。