土方は鼻で笑うが、沖田はあくまで真面目に言っていた。


「土方さんに戻れって言われても従わないでしょうけど、自分からはもっと戻ってこないと思いますよ。何しろ土方さんと同族ですからね」

「………」

「どこに寝泊まりしてるのか知りませんが、
夜の京の町なんてあちこちで斬り合いが勃発してますからね。
いつ彼女が肉塊になって道に転がっててもおかしくありませんよ」

「…………」


土方は難しい顔をして畳に寝っ転がる。


「そうなってから後悔するのは、土方さんじゃなくて近藤さんでしょうね」

ズズッとお茶を啜る音が最後に、静まり返る部屋。

沖田は土方を見る。
土方は天井を睨んだまま黙っている。


「………意地張ってる場合じゃないんじゃないですか」


お互いにね、と呟いた。



土方はしばらく天井を睨んでいたが、
不意に何を思ったか、一ヶ所に纏めておいた書類を足で蹴り飛ばす。

バッと畳に広がる白い半紙。

沖田はそれに驚く訳でもなく、ただじっと土方を見つめている。


「………おい総司」

「何ですか?」

「………あのくそアマ連れて来い」

「………」