気持ち悪いぐらい女にモテるから、女の扱いにも慣れているはずなのに、妙なとこで初だらしい。可愛い人だ。


「何て冗談は置いといて」

まだ赤い顔のままの土方を無視して、表情を引き締める。
雰囲気の変わった沖田に気付いて、土方もスッと無表情になる。


「また土方さん怒るかもしれないですけどね
……。宮本さんが言ったことは本当にそのままの意味だと思いますよ」

「………そのまま?」

「ふふふっ」


沖田は着流しの袖で口許を隠しながら、少女のように朗らかに笑う。


「“邪魔すんな” はないんじゃないですかね?
彼女、土方さんが出掛けてる間ずっと掃除してたんですよ」

「俺の部屋は無駄に散らかしてくれたけどな」

「彼女がずっと掃除してるのに長々と空けてるからですよ。
面倒事押し付けて自分は息抜きしてるんだからそりゃ腹も立つでしょう」

「小姓なんてそんなもんだろうが」

「こんなに自由がないのは土方さんの小姓だけです。近藤さんや山南さんの小姓の方はもっと自由ですよ」

「…………」


土方は納得しなさげに眉を寄せる。