「………あいつの言葉」


しばらくして土方が小さな声で呟いた。


「はい?」

「“息が詰まりそう” って………どういう意味だと思う」

「そのままじゃないですか?」

「………。“鳥籠みたいな所” ってのは……」

「そのままじゃないですかねぇ」

「………さっきから言ってること変わってねぇじゃねぇか!!」


沖田の釈然としない応答に土方は苛々したように怒鳴る。

沖田は困った人だな、と苦笑する。


「わざとらしく湯飲みまで持って部屋に来たから何しに来たんだと思ったら、お前本当に何しに来たんだ?!」

「お茶飲みに来たんですよー」

「テメェの部屋で飲め!! 俺ぁ忙しいんだよ!!」

「溜め込んでた仕事済ませたんだから暇でしょう?」

「………」


土方が黙り込む。本当に暇だったらしい。

「お茶飲みに来たってのは口実で、土方さんの “もう一つの仕事” を見届けに」

「………お見通しかよ」

はぁぁー、と深いため息をつき項垂れる土方。
本当に困った人だ。


「土方さんの事だから、自分だけワルモノになって宮本さんを追い出すんだろうなって」

「………」

「だから俺も共犯になってやろうとしたんですけどー、
罵ってんのか口説いてんのか分からない距離で話してるから乱入できなくてー」

「……ばっ、口説く訳ねぇだろうが!!」


思い出したのか何なのか、瞬間的に赤らむ土方の顔。
冷静を確実にどこかに置いてきたらしい。