「ったく、何でこんな事に……」 立てた膝に顎をのせてぼんやりしていると、 「だから違うと言うとるじゃろ!!」 「!」 ぎょっと目を見開く。硬直した体。 (何だ……?!) 段々近付いてくる声。訛りのある語尾。 京訛りじゃない。つまり京の人間じゃないってことだ。 あたしの中の危険信号が点滅する。 幕末の時代って、色んなお国の人が京に入り乱れていたらしいけど。 いつの時代も同じだよね。余所モンってロクなことしないよね。