「……………」

厠(トイレ)から戻ってくると、
帰ってきたらしい土方が部屋に一歩足を踏み入れた状態で突っ立っていた。


「ああ土方さん帰ってきたんですか。長い息抜きですねぇいいご身分だ」

「………宮本か」


土方は部屋から目を逸らすとあたしを見た。

据わった目。低い低い声に、眉間に寄せられたヤバいくらいのシワ。


何か怒ってるみたいだ。


「どうかしたんすか?」

「………これ、誰の仕業だ?」

「これ?」

あたしは土方の肩越しに部屋を覗き込む。
そこには、机の上から周辺にバラまかれた紙が大量に落ちていた。


「あはは」

「お前がやったのか」

「さぁ」


軽く笑う。土方は笑っていない。多分、あたしも全然笑えていないと思う。

いつものように、ふざけた事は言わなかった。


いつもとは少し、違ったから。

そして、それにあたしは気付いたからだ。