「……ごめん」

藤堂はしばらくしてから、ポツリと謝った。

「…何か謝られるのも癪なんですけどー」

「じゃどうすればいいんだよ!」

あたしははぁとため息をついた。


「もういいですよ。あたしも乱暴なことしましたし。おあいこってことで」

あたしは面を外すと、剣道着のポケットに
入れていた愛用のアイパッチを左目に再装着した。


「すいませんでした。大丈夫ですか?」

藤堂の前に膝をつき、少し微笑む。
彼はあたしの柔らかい態度に驚いたのか、目を丸くしてあたしを凝視していたが、
やがて虫の居所が悪そうに目を泳がせながら頬を赤らめた。


「だ、大丈夫……。俺こそ悪かった。ちょっと舐めてた」

「認めたし」

「あぁ、でもっ!途中からは本気出したからな!お前、本当に強ぇし!」

「あたしがそう仕向けたからですけどね。知ってます」

「生意気なんだけど!何だこいつ!」

「宮本眞希様ですけど何か?」

「開き直ったし」

あはは、と穏やかに笑いあった所で、視線を見物していた他の奴らに向ける。

みんな何やらコソコソと小声で話し合っている。

「…………」

あたしは目を細めて奴らを見た。
生暖かい感情からじゃない。不快な感情からだ。




………感じ悪ィ。