「うーん………そうですね、」
望みなんて、ひとつしかないだろう。
「お風呂入らせてください」
「湯に浸かりたいのか?」
「だってもう一週間近く入ってないんですよ。拷問ですか。限界です、気持ち悪くて」
「そうか。ならば八木さんの奥さんに頼んでこよう」
「本当ですか?ありがとうございます!」
こ、これで地獄から解放される………!
近藤の指示で、月代のおじさんが立ち上がった。
そのまま部屋を出ていく。
「……そういえば、名前聞いてませんでした。今の方は誰ですか?」
「おお!そうだったな。彼は井上源三郎さんだ。みんな源さんと呼んでいる」
源さん………何かゆるキャラにそんな奴いたような。
ねじり鉢巻まいた眉毛の太い奴。

