恋する本 短編 下



彼が本を返してくれて
好きなページやセリフを分かちあった

あれから彼は怖くない
むしろ私の瞳には
彼しか映らなくなった

目を瞑れば彼が映り
目を開けば彼を探す

彼を思うと心臓が
息を切らしたかのように
速く音を刻む


これが恋…?


返して貰った本をめくると
タイトルの「君に恋をした」の前に
「僕は」って鉛筆で書かれてる


彼を見ると彼はこっちをみて

「僕は君に恋をした」

と口元を右手で隠し囁いた


涙が出そうよ


私も君に恋をしたから