こんな些細なことで私に光が差すとは思いもしなかった




「消しゴムおちたよ、はい」


『あっ、ありがとう』



私の前席の男の子は振り返って
私の手に誤って落とした消しゴムを乗せる



「どーいたしましてっ」


二カっと笑う前の席の男の子



ポキンっ


不意に折ってしまったシャープペンの芯


この音はただシャープペンの芯が折れた音ではなく


そう、私が

恋に落ちた音だった









高尾和成くん



私の前の席の男の子



私が恋に落ちた男の子




彼は私と全く正反対で
明るくて元気で
人気もので...


いつも笑ってるイメージ


それに付け加えてバスケ部に入部してて
運動神経もいいみたい




そんな彼は
こんなコミュニケーション障害の私にも
決まって
朝、教室の椅子に座る前に
「おはよう」

って言ってくれる



ああ、貴方にとって些細なことかもしれないけど


私は幸せなんです




好きなんです。