「……でも、それでいいんだ」

「……?」


「君がそうやって、『僕は何かをしていた。だけど何かが分からない』状態を造り出してくれるから。

だから僕は【失望】できる」


「!」


「ああ、違うよ。別に思い出したわけじゃないから。さっきまでどこに居たか分からないけど。

それでも、強すぎる思いは残るもんなんだね」



マスターの存在すら忘れた4番目だが、それでもあの温もりは消えない。

消すことすら出来まい。



「【失望】(僕)がいるから世界は廻る……か。一体誰の言葉なんだろうね」


「………。」


「でもまあ、いっか。それでこそ僕なんだから。それでこそ、僕は僕らしくいられるから。

だから、」



そうして天を仰ぐ4番目に、ふと見とれた迷蓮(めいれん)は思考を巡らす。


『これだけは忘れさせまい』と。