「舞華ー」


六限の終了のチャイムと共に、友達の千尋が私の席に来た。


「今日、短縮日課じゃん。いつもより時間あるよな、放課後付き合ってーや」


彼女は小1からの友達で、つい最近再会したばかりだ。

昔関西に住んでいた名残で、未だに関西弁を話している。

時々標準語が零れる時もあるのに、何故まだ関西弁なのか聞くと、


『これがあたしのアイデンティティーやろ!』


だらしい。


確かに関西弁じゃない千尋は千尋じゃない気がする。


「いいよ、別に。今日、智華達もクラブで遅いらしいし」

「へぇー、クラブ。何してるん?」

「智華が料理、梨華が手芸、雄大は………スポーツだったかな」

「スポーツかぁ…………期待を裏切らんな、雄大少年は」


クラブというのは、智華達の小学校で、毎週水曜にある放課後活動のことだ。

中学の部活とは違う、半分遊びのような活動らしい。