「松島ー」

お昼休みに屋上で一人、弁当を食べていた舞華は、見知らぬ生徒に声をかけられた。

「……?」

「あ、馴れ馴れしくてごめんねー。俺、松島と同じクラスの者だよー」

「……へぇ」

「あ、興味なさそうだね、めちゃくちゃ」

隣いい?と聞かれたので、どうぞ、と促す。
生徒は壁に背中を預けて腰を下ろすと、ため息を1つついて舞華を見た。

「あ、俺 寺岡秀人ね。えっと……幼稚園の時とか、結構遊んでたりしたんだけど、覚えてない?」

ニッコリ微笑む顔を、舞華はじっと見つめた。

「寺岡……秀人……。シュウか?あの泣き虫の?」

「嫌なこと覚えてるなぁ……」

苦笑いをしながらこちらを見る秀人に、幼い彼の顔が重なった。

短髪に童顔、見た目も性格も誰よりも子供っぽいくせに、変に老成したところのあった秀人。

その大人びた表情は昔から何も変わっていなかった。