「なぁなぁ、松島舞華てあの松島舞華?!」

休み時間になるなり、秀人と千尋が興奮しながら行ってきた。

「あ?」

「あ?じゃなくて!あの子舞華やろ?!」

「あー……そうだな。そうなんじゃねぇの」

「何それー!そうなんじゃ、って何よー。竜君が一番分かるやろー」

興奮してるからか、周りが見えていない。

お前そんな空気読めないヤツかよ。察しろよ、気まずいんだよ。

「まぁ千尋、落ち着けよー」

秀人が困ったように笑いながら千尋を押さえている。

……え、何。秀人が気ぃ遣ってる。秀人に気ぃ遣われる俺って何。

「ちょっと口に出てんだけど。無意識に出てんだけど!そんな悲しげな目で見ないでくんない!」

「え、マジか」

「わざとだろ。わざとだよな?泣くよ俺。せっかく気ぃ回したってのに何それ」

「冗談だって。悪ぃ悪ぃ」