1年生の中で2番手だったあたしは、1番手の子の代わりになって試合にでることがあった。
2年生の部員はいなかったから、1年生がレギュラー入りするチャンスもがんばればあったわけで。1年生1番手の子があるきっかけで部活を休みがちだったとき、試合にでてた。
責任感もプレッシャーもあって人一倍練習した。
「先輩4人プラス1年1人、の、その1人の代わりにね、でたんだけど。…ぜんっぜん、うまくいかなくて」
「日向が?」
「うん」
なぜだかぜんぜん動けないし、監督にも怒れっぱなし。一応2番手で、実力はそれなりだったはずなのに。その子の穴をまったくうめられなかった。
「男にふられたからって部活休む子の穴なんて、すぐうめてやりたかったんだけどね」
それから部活にでてきた1番手の子は、すぐにあった試合で大活躍。
練習になんてまったく出ていなかったのに、動きはいいしシュートは入るし、監督にも先輩にもほめられるし。
「悔しくて情けなくて、泣いてた」
そんな、苦い、青い、若かりしころの話。今となればチカに話せる昔話。空を見た。晴天。
となりでチカは、ふーんと言って。
「今やキャプテンじゃん、日向」
「引退したから元だよ」
思えば、ひどく理不尽な話。
今じゃ絶対たえられない。がんばったんだなぁ、16歳のあたし。


