「俺まだクラスになじめてなかった気がする」
「あははチカちゃんコミュ障だもんね、あはは」
「ちょっと黙れよお前」
そうだったかもしれない。あたしもそのころまだよくチカの存在認識してなかった気がする。そのあと席がとなりになって仲よくなるまでは。
コミュ障っていうか、ぶっきらぼうっていうか、とことん愛想ないんだよね、チカは。
あんなころもあったんだね。
「2年前のチカちゃんはがんばってるんだ、今ごろ」
「お前は?」
自分の話が好きじゃないチカは、たいして興味もなさそうにたずねてきた。
「あたしはねー」
1年生の夏休み間近。
いつも、体育館にいた。体育館で、泣いてた。
「がんばっても、報われなかった」
「は? 何それ」
首を傾げて、めずらしくあたしと目を合わせてくるチカちゃんに、昔話をしてあげよう。
まだまだ元気で、活発だっときの話を。
チカちゃんだけに、今だから話せる。
───女子バスケットボール部。
練習場所は、第一体育館。


