「…ねぇチカちゃん」
「なんだ日向」
「あたしね、世界を征服するの」
「ほう、どうやって」
「…米国あたりからつぶす」
「ほう、どうやって」
「…宇宙人を味方につける。無敵」
「ほう、どうやって」
…チカちゃんはあたしとのコミュニケーションを面倒くさがってるに違いない。ちくしょう。
でも購買のパンの袋をガサガサ片づけながら投げやりな言葉をよこすチカに、話しかけることをやめてあげない。
だってあたしは、本気なのだ。
「チカも一緒にしようよ」
「俺な、受験勉強いそがしいんだわ、お前と違って」
「あたしね。そうだね。学年1位だからね。」
「言うなよ」
それっきりお互い言うことがなくなって、静かになった。ここにいると、校内の音も聞こえなくて、静か。
言っとくけど、1位だからって勉強してないわけじゃない。今のところちょっとだけ、休憩時間がほかの人より長いだけで。
ひま。ねむい。


