中学生2年になった春、千太郎からの電話で私は今までで一番の衝撃を受ける。


「実は、俺…彼女出来た」


少し照れるように、少し嬉しそうにいうその一言に胸が引き裂かれるくらい苦しくなった。


どうして私は千太郎の近くにいれないの…。

離れた場所にいる自分を悔やむ。


千太郎の隣りに並ぶ女の子を想像して、涙が出る。


自分の想いを伝えることなく私は失恋した。


「そうなんだ。良かったね。おめでとう…」


少し震える声で言うのが精一杯だった。


千太郎も私を好きかもしれない…そんな淡い期待もしていたのに。

見事に砕かれた瞬間だった。