私たち家族はとにかく千太郎の無事を祈った。

近くにベンチがあったけど、のんびり座っている気分にはなれない。


私たちはいつ消えるのか分からないランプを見ながら、うろうろするしかなかった。


お願い。また「桜香」って、あのかわいい笑顔で呼んで…!


千太郎の体がどんな状況か分からないから、最悪のことまで考えてしまっていた。


絶対、大丈夫。

傷はたいしたことない。

呑気な顔で「どうしたの?」って、私たちのことを見るはず。


病院に到着してから30分後、手術中のランプが消え、開いたドアから医師が出てきた。


「先生、千太郎はどうでしょうか?」


お父さんとお母さんが歩み出る。