「ヒナってさ」
カラオケで熱唱している最中。
由梨は何の前触れもなく切り出した。
「鈍感だよね?」
「??」
意味が分からずに首を傾げる。
「人の気持ちは敏感なつもりなんだけど」
「いーや、ヒナは鈍感だよ!」
マイクのスイッチを入れた由梨は、大声でマイク越しに叫んだ。
「この鈍感娘!!」
音の大きさに驚きを隠せず、思わず耳を塞いでしまった。
マイクの音量が大きかったのか、スピーカーの問題か、ひどいノイズが不協和音を奏でている。
「私のどこが鈍感なの?」
「鈍感であることに気づいてない時点で鈍感なの!」
「なにそれ、屁理屈みたい!」
「実際ヒナは鈍感だよ!」
「何で私が鈍感なの?どこが鈍感なの?」
「教えてあげない。悔しいからっ」
鈍感である私を捕まえて「悔しい」だなんて。
由梨は、どちらかといえば気遣いのできる人の方が好きだったと思うんだけど。
「ヒナにひとつ言いたいことがある」
「な、なに?」
「大切なものが近くにあるなら、手放しちゃダメだよ」
普段は笑顔しか見せない由梨が、その日カラオケで見せた顔は、大人の女性そのものだった。
諭すように放たれた言葉がどんな意味を持つのか、その時の私には検討がつかなかった。
由梨の言うとおり鈍感な私は、一晩考え込んでみたけれど、由梨の言葉の意味を理解できなかったの。
鈍感であることの理由も、大切なものを手放してはいけない理由も。
気付こうとしていなかっただけかもしれない。
事実を知ることが怖かったのかもしれない。
現実に目を向ければ、答えは簡単に見つかったのに。
ドライアイスに水をかけたら、見る間に溶けて行くのに。
凍りついた心に水をかけても、温度は変わらない。
人の気持ちって難しいね?
きっと、お湯をかけたら火傷して、また手当が必要になる。
それが、人の気持ちというものなのかな?
カラオケで熱唱している最中。
由梨は何の前触れもなく切り出した。
「鈍感だよね?」
「??」
意味が分からずに首を傾げる。
「人の気持ちは敏感なつもりなんだけど」
「いーや、ヒナは鈍感だよ!」
マイクのスイッチを入れた由梨は、大声でマイク越しに叫んだ。
「この鈍感娘!!」
音の大きさに驚きを隠せず、思わず耳を塞いでしまった。
マイクの音量が大きかったのか、スピーカーの問題か、ひどいノイズが不協和音を奏でている。
「私のどこが鈍感なの?」
「鈍感であることに気づいてない時点で鈍感なの!」
「なにそれ、屁理屈みたい!」
「実際ヒナは鈍感だよ!」
「何で私が鈍感なの?どこが鈍感なの?」
「教えてあげない。悔しいからっ」
鈍感である私を捕まえて「悔しい」だなんて。
由梨は、どちらかといえば気遣いのできる人の方が好きだったと思うんだけど。
「ヒナにひとつ言いたいことがある」
「な、なに?」
「大切なものが近くにあるなら、手放しちゃダメだよ」
普段は笑顔しか見せない由梨が、その日カラオケで見せた顔は、大人の女性そのものだった。
諭すように放たれた言葉がどんな意味を持つのか、その時の私には検討がつかなかった。
由梨の言うとおり鈍感な私は、一晩考え込んでみたけれど、由梨の言葉の意味を理解できなかったの。
鈍感であることの理由も、大切なものを手放してはいけない理由も。
気付こうとしていなかっただけかもしれない。
事実を知ることが怖かったのかもしれない。
現実に目を向ければ、答えは簡単に見つかったのに。
ドライアイスに水をかけたら、見る間に溶けて行くのに。
凍りついた心に水をかけても、温度は変わらない。
人の気持ちって難しいね?
きっと、お湯をかけたら火傷して、また手当が必要になる。
それが、人の気持ちというものなのかな?
