はやく俺を、好きになれ。

真優は携帯を弄りながら呟いた。俺はクローゼットを閉めながら、それを聞く。



「別れたくなかったなぁ…」



は?


思わず真優を凝視した。真優は俺のベッドに座り俯いていた。


超ポジティブで来るもの拒まず去るもの追わずの真優から聞いた初めての言葉だ。


俺は拳を握り締めてやりきれない想いを口にする。



「…そんなに好きだったのかよ」

「ううん。普通だよ」



違うのかよ!


何なんだよマジで。


滅茶苦茶シリアスな場面だったじゃねえか。泣きそうだったお前はどこに消えた。真優を振った男をぶっ殺そうと思った俺は何だったんだ。