はやく俺を、好きになれ。

「真優、帰るぞ」



そう言うと真優は、ぱぁ!と顔を耀かして頷いた。



「あ、返すね?これ」

「…………ああ」



マジでいつ盗んだんだ俺の財布。だが嬉しそうな真優を見たらそんな疑問も吹っ飛んだ。


やはり空気が読めない真優は修羅場中の三人に声をかける。



「綾ちゃんまた明日学校で!」

「ああ。またな」



こういう会話を聞くと親友だったのかと思い知らされる。そう考えた事が見抜かれたのか綾はニヤリと悪どい笑みを浮かべた。



「また会おう、陽坊」

「誰が陽坊だ」



睨むが飄々と交わされる。やっぱ食えねぇなァコイツは。綾と挨拶を交わす俺達を見て葉はあからさまに不機嫌になった。