はやく俺を、好きになれ。

「まぁまぁ落ち着こう」



狙ったように二人の輪に入る綾。コイツが愉しげにしていた理由が漸く分かった。生の修羅場に遭遇できるからだ。



「なっ、だ、誰よ貴女!」

「アタシかい?アタシは…」

「僕の彼女だよ」



綾の肩を引き寄せて葉は微笑する。綾は否定も肯定もしない。一体何で買われたんだ。


金か?いや、真優の写真とかだったりして……。もし真優の写真で彼女役を引き受けたなら後で買おうなんて密かに企んだ。