はやく俺を、好きになれ。

騒ぐ男を尻目に、とりあえず雑誌は鞄に仕舞う。


どさくさに紛れて雑誌を拝借する俺を、葉は軽蔑した目で見てきた。


「……結局見るんだね」

「……うっせえ」



テメエさっき受け取れって言ってたじゃねえか。



「まさか本当に受け取るとは思わなかったよ。陽も男だったんだね。もしかしたら真優ちゃんに構うのはカモフラージュで、男が好きなのかと疑ってたから安心したよ」



サラッとカミングアウトされる。


なんで俺が男を好きにならねえとイケねえんだ!


確かに真優は一向に振り向かねえし靡かねえが、そっちに走るつもりなんざねえよ。


雑誌だって真優似の女じゃなきゃ興味はなかった。