「あそこで泣いておるのはリオン。幼き頃の、幸せだ った頃の彼だ」
「幸せだった頃の……」
以前リオンは言っていた。
ある人に会いに行くと…
大切な時を取り戻すと…
その目的が今の状況と何か関係があるのだろうか?
ふとそんな事を考えるコウガは2人のリオンを交互に見つめる。
すると、泣きじゃくる幼きリオンの元に突然現れた赤紫色の髪をした1人の少女。
少女はリオンの隣に腰を下ろすと優しく頭を撫でる。
「この小悪魔が……」
少女を目にした瞬間毒を吐くセルビア。
鋭い眼差しで少女を睨み爪を噛む。
「うぅ……お姉ちゃん!」
未だ泣き続ける少年は隣に腰かける少女を目にすると勢い良く彼女に抱きついた。
お姉ちゃん… リオンはそう言った。
確かに彼女はリオンにどことなく似ている。
しかし髪は赤紫、瞳はグレー。
エメラルドの髪のリオンとは正反対の容姿なのである 。

