やって来るのは死という重い運命。


もう変えようもない。

変えられようもない。

引き返す事の許されないこの道を、真っ直ぐに只前へとつき進むのみ。




 『…コウガ……』


 「!?」


仲間達の声に紛れふと聞こえてきた優しく柔らかな声。


下げていた視線を上げてみれば、1人の女性の姿が瞳に映る。



ライアの遙か後方、女神像の傍に佇むその女性。


腰までの長い黒髪に藍色の優しい瞳の彼女。



そこに居るのは紛れもなく、アリア・ダージェスそのものである。




 「アリア……」


耳を疑い目を疑う。

これは幻想、幻、幻覚、幻聴。


自らの望む人物を死ぬ前に見ているのだろう。


現に彼女は此処に居る筈もないのだから。



でも、最後にその姿を目にする事ができて、二度と見る事のできないその華のような微笑みを見る事ができて、この状況を忘れ自然と笑みが零れる。





そして次の瞬間、目にも鮮やかな血飛沫が辺りに舞った。