Blood Tear



身に迫る鋭いレイピアの刃。

心臓目掛け真っ直ぐ突き進むそれを理解するも、決して退く気の無いコウガ。



彼はこのままで良いと思っていた。



このままその刃がこの身を貫いて、自らの命をもってこの戦いに終止符を打つ。


それが唯一の最善策であり解決法。

その他に優良な解決策など存在しない。



だからこのまま運命に抗う事も無く、この現実を受け止め刃を迎え入れる。




 「「コウガ!」」


自らの名を叫ぶ声が聞こえてきた。


それは共に他愛のない日々を過ごしてきた仲間の声。



彼等とも、これで別れとなってしまう。


もう会う事も叶わなくなってしまう。


もっと彼等と共に居たかった。

もっと彼等の事を知りたかった。

もっと彼等と共に笑い合いたかった。



何事も無く、只平凡な日々を当たり前のように幸せに過ごしたかった。



でももう二度と、そんな日々は自分にやっては来ない。