Blood Tear



ギリギリの所で交わした為、刃が身体を掠るが気にする事は無い。


突き出された刃は標的を失い直ぐ傍でよろけるライア。


このチャンスを逃がすまいと、コウガは握った剣を振り下ろす。




 「っ……!」


身に迫る刃を目にしたライアは目を見開き、咄嗟に身を捻りながら退避する。


跳んだ際に剣の切っ先が太股に触れ、浅く長い傷を負うライア。


傷口から血が流れ出て、既に他人の血で汚れるその脚を更に赤く染めあげる。



その様子を見つめる彼は声を上げ笑い出し、警戒するコウガは荒い息を吐く。




互いに傷を負うコウガとライア。


力は互角のようにみえるこの2人。


どちらが優勢でどちらが不利なのかわからない。



武器を手に睨み合い緊迫した空気の漂う中、見つめるレオンの喉はゴクリと鳴り、額に冷や汗を浮かべるクレアは鎌を力強く握り締める。




見ている此方がハラハラする。


心臓は小刻みに鼓動を打ち、息をするのも忘れてしまいそうだった。




どうにかなってしまいそうで、気が狂いそうな程長い時間。


止まったようなその時間を動かしたのは、同時に地を蹴ったコウガとライアの2人だった。