怒りを露わに剣を振るうレグルの表情は鬼の形相。


煌めく刃が振り下ろされる前にマットはいつの間にか手にしていた試験管から栓を抜き、中の液体をレグルにぶちまけた。




 「っ……!」


反射的に顔の前にかざした腕にかかるその液体。


それは服を溶かし腕を焼く。



レグルが怯んだその隙にマットは回復したアリューの背を押しレグルを殺せと命令する。


しかし、彼女は一歩前へ出ただけでレグルに斬りかかろうとはしない。




 「…何して……グハッ……!?」


様子のおかしい彼女に声をかけるが、名を呼ぶ手前で腹部に鋭い痛みが走り血を吐いた。


体を貫通する刃。

背にある刃先から血が滴り落ち、白衣は真っ赤に染まっていく。



立ち止まっていたアリューは振り返ると共にマットの腹部に刃を突き刺していたのだ。




 「っ…貴様ーー!!」


アリューを突き飛ばし刃を腹から抜くと怒りを露わに声を荒げる。


そして彼女の髪を乱暴に掴み引き寄せると、ポケットから取り出したメスを振り上げた。